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◆竹信悦夫氏の”英字新聞がどんどん読めるようになる”から
今日は、 ”英字新聞がどんどん読めるようになる”(2000年8月 光文社刊 竹信悦夫著)からの話題です。
竹信悦夫さんは、1950年に兵庫県で生まれ、灘中、灘高から東大に進み、文学部西洋史学科を卒業しました。
朝日新聞社に入り、シンガポール支局長、翻訳センター編集長などを経て編集局速報センター次長を歴任しました。
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竹信さんは、見出し読みをすすめておられます。
英語の新聞を作っていると、時に読者からの思いがけない反応をいただくことがあるそうです。
いちばん驚いたのは、もっとページを減らしてほしいという要望でした。
読者にとって情報の質はもちろん量も多ければ多いほどいい、と信じていたそうですので、びっくりしたわけです。
読者の真意は、
英語の新聞はとても毎日読み切れない。読み残した記事がたくさんあるのに、翌日になるとまた新しい新聞が届く。この記事も読まなくては、あの記事も読まなくては、と思っているうちに、また新しいのが届く。ちょっと気を抜くと、すぐに読み残しがたまってしまって、そのたびに「もったいないことをした」と後悔する。せめて、毎日自分が読み通せるくらいのページ数なら、こんな思いはしなくてすむのに……
というものだったそうです。
これほど大事に読んでくださる読者がいるのは、作り手の側としてはとてもありかたいことです。
とはいっても、私たちは、情報の集め方と同時に捨て方を真剣に考えなくてはならない時代に生きています。
たくさん集めたくさん捨てなくてはならない、いわば情報の大量消費時代です。
情報整理の指南書などには、新聞の全部のページが役に立つなんてことはありえないのだから、必要な記事だけ切り抜いて残りはどんどん捨てよなどと書いてあります。
その説に従えば、もったいないなどと言わず、読み残しがあろうとなかろうと、次々と処分していかなくてはなりません。
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ある先輩記者の言葉です。
新聞が”しんぶんし”と呼んでもらえるのはせいぜい1日で、次の日になったら”しんぶんがみ”になって、弁当箱を包むくらいしか役に立たなくなります。
確かに新聞の生命、厳密には、載っている記事の生命は短いです。
大半の記事は、1度目を通したらそれでおしまいです。
せいぜいが、これはという記事を切り抜いておくくらいのものでしょう。
ところが、英語の新聞となるとなぜか、”もったいない”という感覚が働くのです。
しかし、竹信さんは、新聞社に入って8年目に国際ニュースを扱う部署に異動になったときに、失敗した経験があるそうです。
当時、ニューヨーク・タイムズ紙に、ジェームズ・レストンという高名な記者かいて、コラムを書いていました。
レストン記者のコラムは、朝日新聞社発行の英語の夕刊紙、朝日イブニングニュースが転載していました。
ニューヨーク・タイムズ紙はいわゆるクオリティー・ペーパー、高級紙で、そこで使われている英語は、決して平易ではありませんでした。
目玉コラムとなれば、単純な事件・事故の雑報とはかなり趣が違い、初心者には手ごわいのです。
最初のうちは、単語帳まで作ってなんとか解読しようと試みたのですが、切り抜きがたまっていくばかりです。
やがてノートに貼り付けてはみるものの、結局は読み切れずに放ったらかし、という情けない結果になってしまったそうです。
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英語の新聞をすみからすみまで読もうとすれば、大変な労力が必要です。
でもそれは、英語で書かれているからではありません。
苦労なしで読めるはずの日本語の新聞だって、載っている記事をすべて読もうとすると手に負えません。
日本語の新聞を手にした時のことを考えてみると、ふつうの読者ならページを繰りながら見出しや写真にパッパッと目をやって記事をチェックし、それにひっかかった記事だけを読んでいるはずです。
忙しい人なら、見出しをざっと眺めるだけで記事そのものは読まない場合だってあるかもしれません。
1面から最終面まで全部目を通すと、新書判の本を数冊読むのと同じと言われるくらい新聞の情報量は多いのです。
大多数の人は、限られた時間に見出しを走り読みしてニュースの要点を知り、読むか読まないかを瞬間的に判断してページを繰っているのです。
一般の読者にとって、新聞を読むことはそれ自体が目的ではありません。
知りたい情報を得るのが、目的なのです。
そのために必要な時間は、短ければ短いほどよいのです。
このことは、書かれている言葉が日本語だろうと英語だろうと変わりはないはずです。
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竹信さんは、見出し読みをすすめておられます。
英語の新聞には、日本語の新聞では読めない情報が載っています。
また、おのずから日本語のメデイアとは異なる視点もあります。
読み続ければ、英語が苦にならなくなります。
でも、漠然と英語の勉強のために英語の新聞を読もうとしても、うまくいきません。
これは、特に話す相手も話したいこともないけれど、英会話ぐらいできなくては程度の動機で、英会話のレッスンに通うのに似ています。
時間の割に、得るところが少ないでしょう。
英語の新聞を時間をかけないで読むには、見出しの飛ばし読みが有効な方法です。
ヘッドライン・スキャニング(headline scanning)、あるいは、ヘッドライン・スキミング(headline skimming)というやり方です。
日本人の読者も、日本語の新聞を読むときには自然に実行している読み方です。
見出しが一目でわかるようになれば、英語の新聞を読むためにかける時間を、大幅に節約できます。
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竹信さんが関係しておられた朝日イブニングニュースは、駅の売店で手に入る夕刊です。
購読すれば、帰宅の電車の中だけで読み通すという習慣が身につくかもしれません。
ただ、やっかいなのは英語の新聞の見出しがとっつきにくいことです。
単語のひとつひとつは、つづりの短い簡単な言葉なのに、意味がつかめないのです。
竹信さんは、
・やたらに見慣れないつづりの語が出て来る、
・記事本文を読んではじめて見出しの意味がわかった、
などというような話を聞くことがあったそうです。
これは、限られたスペースにできるだけニュースの要素を盛り込むため、通常の文法規則や語彙からはみだした、見出し語法とでもいうべき見出し特有の表現が用いられるからです。
竹信さんは、
英語の見出しをどうわかりやすく伝えるか、
に苦心しておられたそうです。
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ここでは、朝日イブニングニュースのうち、主に最終版1面の記事の見出しを材料にして、見出し語法を解読しています。
これまでの日本人向けの英字新聞の入門書では、見出しについては、最初に簡単に触れるだけ、という例が多かったようです。
中には、見出しは難しいから、わからなくてもよい、まず本文記事を読んでから、見出しに戻りなさいと説いている入門書もあるほどです。
これもひとつの考え方かもしれませんが、何とも不思議な読み方という他はありません。
英語の新聞を読むというのは、あくまでも情報を得るための手段であって、それ自体が目的ではないのです。
見出しがわかるようになれば、記事の核心がいきなり頭に入ってきます。
そのうえで、必要や興味、予備知識に応じて、これはと思う記事にとりかかれば、面白いように内容が理解できます。
これで、英語の新聞を読みこなせるようになるのです。
そのための近道は、基本となるいくつかの約束事と、しょっちゅう出てくる見出し用語に慣れてしまうことです。
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テレビが多チャンネル化し、インターネットが普及してきた結果、紙に印刷した新聞以外の形態で、情報を得る機会が増えてきました。
今後もますますその傾向は強まるでしょう。
しかし、その場合でも、英語の情報を、効率的に人手するためには、新聞の見出しの知識は大いに役に立ちます。
CNNやBBCの24時間放送のニュース番組を見るとわかりますが、一定の間隔をおいて繰り返し画面に出てくる重要ニュースには、必ず見出しがついています。
インターネットで、情報を探すときにも、見出しの知識は欠かせません。
いずれの場合も、新聞の見出し語法が、ほとんどそのまま用いられています。
見出し語法は、過去のものではありません。
むしろ、多メディア時代にこそますます役に立つ知識といえるでしょう。
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竹信さんは、英字新聞に慣れるコツを挙げておられます。
竹信さんは日本語の新聞記者の経験しかなかったとのことで、英字新聞を作る部署に移った当初は面食らうことばかりだったそうです。
目の前を通過して行く原稿も、編集会議も、全部英語ばかりで、外国で暮らしていた時よりもはるかに英語の密度が高かったそうです。
そして、夢の中にまで英語のやりとりが出てくる始末だったようです。
新聞社というところは、良く言えば自主性を重んじるところですが、別の言い方をすると、新人教育のプログラムがほとんど整備されていないところでした。
英字新聞づくりの諸先輩たちは親切な方々が多く、実に多くのことを効率よく教えてくださったそうです。
でも、なにぶんにも英語に不自由しない方々ばかりでしたから、経験のない竹信さんには作業の流れについて行くだけでも大変だったようです。
この時期に、日本語で書かれた英字新聞の入門書を何冊も読んだとのことです。
入門書には、必ずといっていいほど英字新聞に親しむ方法といった項目がありました。
それらの先人たちのアドバイスは、自分なりに一通り試したつもりですが、やってみると、むずかしすぎたり、あまり参考にならない心得も結構あったとのことです。
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竹信さんは、自分にとって役に立ったコツをあげておられます。
英語教育の常識からすると、首をかしげる内容があるかもしれないと言っておられます。
それは、目的が英語の勉強にあるのではなく、英語の新聞を使って情報を入手することにあるからです。
兵器ビジネスの世界では、実戦で使用済みというのが何よりの品質保証になるといいます。
そういう意味で、すべて実戦で使用済みコツをあげていきます。
まず、
○初めから記事全部を読もうとしないこと
です。
何事もそうですが、最初のうちは、なかなか先が見えません。
英語の新聞を読み始めたのはいいけれど、知らない単語ばかりが出てきてさっぱり意味がわからない。
先へ進もうとしますが、なかなか思うようにいかず、やがて投げ出してしまいます。
こんなケ−スは案外多いものです。
焦ることはありません。
分析記事や、論説、長い読み物記事などは、先々の楽しみということにして、まずは1面記事の見出しと最初の段落だけに集中するとよいでしょう。
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竹信さんは、短い記事には短い記事ゆえの難しさもありますが、何より短時間で読めるのが手軽でよい、と言われます。
1面の記事は、突発ニュースを除いて長い記事が多いのですが、最初の段落だけなら大した長さにはなりません。
英語のニュース記事の場合、重要な要素から順に書いていく逆三角形の形が、かなり厳密に守られています。
たとえ短くとも、ニュースの要素は十分に含まれていますので、読みごたえがあるはずです。
1面以外の記事を読む場合は、短信から読んでみるのもいいのでは、と勧めておられます。
次に、
○辞書を引かない
です。
最大の理由は、わずらわしいからです。
知らない単語に出くわしただけでもげんなりするのに、それをいちいち辞書を引いて意味を調べていたのでは、面倒で仕方がありません。
英語の勉強が目的ならそれもいいでしょうが、読む速度は大幅に落ちてしまいます。
受験勉強の後遺症かもしれませんが、知らない単語が出てくると不安になるものです。
確かに、あるニュースのカギとなる重要な単語を知らなかったために記事全体が理解できなかったり、誤解したりすることはしばしばあります。
同じようなことは、日本語の新聞を読んでいても起きます。
かといって、知らない言葉が出てくるたびにいちいち知恵蔵や広辞苑を参照しながら新聞を読む方は、あまりいないでしょう。
実際には、知らない単語がニュース全体にとってはたいして重要ではない、という場合も多いのです。
どうしても未知の単語を放置できないという人は、問題の単語にマーカーか、ボールペンで印をつけておいて、時間に余裕があるときにまとめて辞書で意味を確かめてみるといいでしょう。
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次に、
○翌日に持ち越さない
です。
その日のうちに読み切れなかった新聞は、思い切って捨てるくせをつけます。
どうせ翌日には、新しい新聞が届くのです。
1日抜かすと、ニュースの流れがわからなくなってしまうのではないか、という心配はいりません。
日本語の新聞では、多くの場合、第1報がいちばんくわしく、時間を追って扱いが小さくなっていきます。
海外旅行から帰った直後などで、第1報を知らず、いきなり続報にぶつかると、まごつくことがあります。
しかし、ある程度以上の長さの記事なら、毎回毎回、必ず後半の方に、これまでの経過がまとめて出てきます。
前の記事を読んでいなくても、記事を最後まで読み進んでいけば、大体の流れがわかるようになっています。
ですから、1日や2日読まない日があっても、それほど気にすることはありません。
逆に、これまでの流れをよく知っているニュースなら、記事の後半に出てくる背景説明の部分は、読まなくてもかまいません。
あるニュースについて、スクラップブックに保存しておきたいという人も、細大漏らさず切り抜いておく必要はありません。
大きく扱われた時だけ切り抜いておくだけで十分です。
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次に、
○日本語の知識を動員する
です。
日本語を母語にしている人が日本社会で暮らしていれば、いやでも新聞やテレビを通じて日本語のニュースに接します。
ニュース以外でも、友だちとおしゃべりしたり本を読んだりして、情報を取り込んでいます。
その大半は日本語を伝達手段にしています。
したがって、知識として持っている情報の大半は日本語です。
ある分野について英語の新聞を読んで日本語メディアでは手に入らない情報を得ようとするくらいの人なら、すでにその分野について日本語で蓄えている知識が相当にあるはずです。
日本で発行されている英語の新聞の場合、日本に関係するニュースがたくさん載っています。
これは、想定している主な読者が日本に住んでいたり旅行で滞在していたりする英語圏の人たちであるところからきています。
その知的財産を活用しない手はありません。
手始めに、日本国内のニュースを見てください。
知っていることばかりであまり情報収集には役に立たないと思うかもしれませんが、意外に発見があります。
日本語の知識を動員するという場合、条件付きではありますが、カタカナ語の知識も役に立ちます。
条件付きと言うのは、多くのカタカナ語はもとの外国語の意味の一部だけを取り出して流通することが珍しくないからです。
ただし、和製英語という落とし穴もあります。
勉強が目的ではなく情報を得るのが目的という意味では、英文をいちいち日本語に訳すのは労力の無駄です。
しかも、英語と日本語はひとつひとつの言葉が対応しているわけではありませんから、単語に訳語をつけるのも問題が多いのです。
しかし、たったひとつの単語を知らないために全体の意味が取れないという経験も、現実にはよくあるでしょう。
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最後に、
○興味を生かす
です。
日本語を母語とする人が日本語の新聞を読む場合でも、すべての面に同じ時間をかけて読んでいるわけではありません。
日本の新聞でどのページがよく読まれているかという調査をすると、テレビの番組ページがずばぬけて高い数字を示します。
新聞のどのページが読まれているかといういわゆる閲読率は、ページごとにずいぶんばらつきがあります。
作る側はその日の最も重要なニュースを1面に並べ、ついで各ページの性格に応じてニュースを配置します。
しかし、読む方は、スポーツであれ、国際ニュースであれ、芸能の話題であれ、興味のある記事にしか目を向けません。
都内の高校で英字新聞特別授業を試みたとき、生徒全員に1週間分のニュースの中から記事を1本選び、その要約と感想を書いてくる課題を出しました。
中には外交問題を扱ったニューヨーク・タイムズの論評記事を転載したものを取り上げた生徒もいましたが、印象的だったのは、スポーツ面のテニスの記事を選んできた生徒でした。
テニス部に所属している生徒で、英語は得意じゃないけど記事の内容がよくわかってとても面白かったというのが、感想でした。
誰でも興味のある分野については、予備知識があります。
少しくらい知らない単語が出てきても平気です。
スポーツやコンピューターなどカタカナ語がよく使われる分野なら、もとの言葉と比較しながら理解できます。
興味があって、もっと知りたいと思う分野の記事を読む。
これこそ、英語の新聞を読めるようになる極意といえるでしょう。
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竹信さんは、短時間で読むためのいくつかのポイントを挙げておられます。
MT.USU ERUPTS; MUDFLOWS FEARED
見出しは現在形です。
北海道の有珠山が23年ぶりに噴火しました。
たった5語の見出しです。
号外級の大ニュースの見出しは多くの場合2語とか3語で、文法的にいうと「主語と動詞だけ」という形がほとんどです。
見出しの特徴は、何といっでも簡潔なことです。
単語数はできるだけ少なく、わかりきったことや枝葉の部分はどんどん削り冠詞も省略します。
Mt.は「山」という意味のmountを省略した形で、MT.USUは、有珠山です。
ERUPTは「火山が噴火する」という意味の動詞で、Sがついています。
Sは、文法でおなじみの「三人称・単数・現在」のSです。
「見出しの動詞は現在形を使う」という原則があり、主語のMT.USUが三人称・単数だからです。
現在形を使うのは、新鮮なニュースをいきいきとした表現で伝えるという新聞の特性からです。
例外はありますが、過去の事実も現在進行中の事実も同じように現在形を使って表現します。
日本語の新聞の場合も同じですが、日本語には体言止めという便利な形式があり見出しによく使われます。
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竹信さんは、短時間で読むためのいくつかのポイントを挙げておられます。
MT.USU ERUPTS; MUDFLOWS FEARED
見出しは現在形です。
北海道の有珠山が23年ぶりに噴火しました。
たった5語の見出しです。
今回は、後半のMUDFLOWS FEAREDについてです。
ここには現在形の動詞が出てきません。
これは”be動詞を省略する”という、もうひとつの見出しの原則があるからです。
主語とおぼしきMUDFLOWは、日頃あまり見かけない単語です。
小さな辞書だと載っていません。
といっでも見当がつかないわけではありません。
MUD=泥、FLOW=流れ、であることに気がつけば、そのまま漢字に置き換えて”泥流”の意味が浮かんできます。
これを受ける動詞はFEARで、現在形ではなくEDがついた形になっています。
動詞にed(またはd)がついているのは、規則動詞の過去形または過去分詞です。
過去形は過去の出来事を示し、be+過去分詞は受け身の形です。
しかし、FEAREDを過去形ととって読もうとすると、”泥流が心配した””泥流が恐れた”となってしっくりきません。
ここでは、be動詞を省略するという、見出しの重要な原則が適用されているのです。
つまり、
MUDFLOWS ARE FEARED
のAREが省略されているのです。
これだと受け身の形で、”泥流が心配される”の意味であることがはっきりします。
見出しの英語には、とてもよく出てくる基本中の基本の形です。
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Boy,6,held in school shooting
アメリカ・ミシガン州の小学校の教室で、1年生(6つ)の男児が同級生の女児(6つ)をピストルで射殺する事件が起きました。
アメリカでは、自殺、他殺あわせて、年間およそ3万2千人が銃によって命を失っているそうです。
そんな銃社会の話だといっても、やはり衝撃的です。
主語がBoyであることは容易にわかりますが、その次に「6」という数字が、コンマではさまれています。
コンマではさまれた部分は、その前の単語についての説明です。
ここでは、Boyの年齢を示しています。
「6つの男児」を受ける動詞はheldで、不規則活用動詞holdの過去形あるいは過去分詞です。
どちらなのかは、前後からそのつど判断しなければなりませんが、実際の見出しでは、その前に「be動詞の省略」が行われた過去分詞が多く、受け身の形になります。
とくにheldについては、犯罪や事件の見出しであれば「身柄を拘束される」という意味、会談や会議、催し物などを伝える見出しであれば「開催される」の意味で使われる例がほとんどです。
ここは、銃犯罪の見出しですから「身柄を拘束される」の方です。
そのあとにin school shooting とあります。
schoolは「学校」、shootingは「射撃」で、どちらも名詞ですが、前のschoolは、形容詞的に使われており、2つの単語をあわせて「学校での銃撃事件」といった意味になります。
このschoolのように、名詞の形のまま形容詞的に使われるのは、ジャーナリズム英語の大きな特徴です。
この語法を使うと、文を簡潔にすることができます。
見出しはもちろんですが、記事の本文中でも、頻繁に使われています。
inは前置詞ですから、その後に続くschool shooting「において」「で」となります。
そこで全体を最初から日本語に置き換えていくと、
「男児、6つ、身柄拘束される、学校での銃撃事件で」
という意味が見えてきます。
・・・・・・
KIDNAPPED BOY SAFE AND SOUND
横浜市神奈川区の小学2年生の男児が誘拐される事件が起きました。
犯人2人は逮捕され、男児は5日ぶりに無事保護されました。
その直後の見出しです。
まず動詞を探します。
人を誘拐するという意味のKIDNAPという動詞がまず目につきます。
EDがついていますから、過去形か過去分詞です。
では、主語は何でしょうか、見あたりません。
別の可能性を考えてみましょう。
この見出しで、主語になりそうなのはBOYしかありません。
KIDNAPPEDは、BOYを形容していて、誘拐された少年というひとまとまりが主部になっています。
その次のSAFE AND SOUNDを見ましょう。
見出しでは、接続詞のandは、そのままの形では使わず、コンマあるいはセミコロンで代用するのが普通です。
スペースを節約するためです。
わざわざANDを使っているのは、safe and soundという慣用語句を使っているからです。
手紙などの決まり文句でよく使われる、”無事に””つつがなく”という意味になります。
動詞はどこにも見あたりません。
省略されているのです。
ここでは、見つかったとか救出されたという意味の表現が省略されていると考えられます。
be動詞の省略は重要な見出し語法ですが、このようにbe動詞以外の動詞もしばしば省略されることがあります。
前後の言葉から、容易に省略された動詞がわかる場合です。
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